11月に入っています。
すでに先月のお話になりますが、刑務所の中で発行されている所内紙に原稿を載せて頂きました。
内容は何でもよいということでしたので、職業訓練におけるコミュニケーションの難しさについて書かせて頂きました。

第2種電気工事士の職業訓練は、簡単に言えば中学校の技術の授業のような感じです。
大きく違うのは、雑談ができないことで、そのため各受講生の性格などを推し量るのにかなり時間がかかります。
これはおそらく受講生側も同じなのだと思います。

お互いのことが少しわからないと、例えば「先生は俺のことを理解してない」と思われてしまうと、受講生は講義を投げ出す可能性があります。
これは受講生本人も本来望まない選択のはずで、受講生全員を無事に修了までもっていくのが私の務め(つとめ)とも言えますので、お互いを理解することは重要だと思っています。

さて、先日の職業訓練から半田付けを始めています。
ある受講生は、半田付けが初めてのようで、やり方を熱心に聞いていました。

説明のあとは、実際のこてを使っての練習です。
私が見本を示したあと、交代でやってもらいました。

はじめはおっかなびっくりでしたが、「もうちょっと練習したい」と本人からの希望があり、予定より少し多めに練習を重ねました。

その日の講義が終わるころ彼は私に言いました。
「半田付け、楽しいです。」
これまで、このようなことは言われたことがなかったので少しびっくりしました。

自分の気持ちを素直に私に伝えてくれたことをうれしく思いました。
そして「半田付けをそんな風に思えてよかったなあ」と思いました。